エレミヤ書22-23 ; テトス1

エレミヤ書

第22章

22:1主はこう言われる、「ユダの王の家に下り、その所にこの言葉をのべて、22:2言いなさい、『ダビデの位にすわるユダの王よ、あなたと、あなたの家臣、および、この門からはいるあなたの民は主の言葉を聞きなさい。22:3主はこう言われる、公平と正義を行い、物を奪われた人を、しえたげる者の手から救い、異邦の人、孤児、寡婦を悩まし、しえたげてはならない。またこの所に、罪なき者の血を流してはならない。22:4もしあなたがたがこの言葉を真実に行うならば、ダビデの位にすわる王とその家臣、およびその民は、車と馬に乗って、この家の門にはいることができる。22:5しかしあなたがたがこの言葉を聞かないならば、わたしは自身をさして誓うが、この家は荒れ地となると、主は言われる。22:6主はユダの王の家についてこう言われる、
あなたはわたしに対してギレアデのようであり、
レバノンの頂のようである。
しかし、わたしは必ずあなたを荒れ地にし、
人の住まない町にする。
22:7わたしは滅ぼす者を設けて、あなたを攻めさせる、
彼らはおのおのその武器をとり、
あなたの麗しい香柏を切り倒し、
火に投げ入れる。
22:8多くの国の人はこの町を過ぎ、互に語って、「なぜ主はこの大いなる町をこのようにされたのか」と言うとき、22:9人は答えて、「これは彼らがその神、主の契約を捨てて他の神々を拝し、これに仕えたからである」と言うであろう』」。
22:10死んだ者のために泣くことなく、
またそのために嘆いてはならない。
捕え移されてゆく者のために、激しく泣け。
彼はふたたび帰ってきて、
その故郷を見ることがないからである。
22:11ユダの王ヨシヤの子シャルムは父ヨシヤについで王となったが、ついにこの所から出て行った。主は彼についてこう言われる、「彼は再びここに帰らない。22:12彼はその捕え行かれた所で死に、再びこの地を見ない」。
22:13「不義をもってその家を建て、
不法をもってその高殿を造り、
隣り人を雇って何をも与えず、
その賃金を払わない者はわざわいである。
22:14彼は言う、『わたしは自分のために大きな家を建て、
広い高殿を造ろう』と。
そしてこれがために窓を造り、
香柏の鏡板でおおい、それを朱で塗る。
22:15あなたは競って香柏を用いることによって、
王であると思うのか。
あなたの父は食い飲みし、
公平と正義を行って、幸を得たのではないか。
22:16彼は貧しい人と乏しい人の訴えをただして、
さいわいを得た。
こうすることがわたしを知ることではないかと
主は言われる。
22:17しかし、あなたは目も心も、
不正な利益のためにのみ用い、
罪なき者の血を流そうとし、
圧制と暴虐を行おうとする」。
22:18それゆえ、主はユダの王ヨシヤの子エホヤキムについてこう言われる、
「人々は『悲しいかな、わが兄』、
『悲しいかな、わが姉』と言って、
彼のために嘆かない。
また『悲しいかな、主君よ』、
『悲しいかな、陛下よ』と言って嘆かない。
22:19ろばが埋められるように、彼は葬られる。
引かれて行って、
エルサレムの門の外に投げ捨てられる」。
22:20「レバノンに登って呼ばわり、
バシャンにあなたの声をあげ、
アバリムから呼ばわれ。
あなたの愛する者がみな滅ぼされるからだ。
22:21あなたの栄えていた時、わたしはあなたに語ったが
『聞きたくはない』と言った。
あなたがわたしの声に聞き従わないことは、
あなたの幼い時からの、ならわしであった。
22:22あなたの牧者はみな、風に追い立てられ、
あなたの愛する者は捕え移される。
その時、あなたは自分のもろもろの悪のために、
恥じ、うろたえる。
22:23レバノンに住み、
香柏の中に巣をつくっている者よ、
子を産む女に臨む苦しみのような苦痛が
あなたに臨むとき、
あなたはどんなに嘆くことであろうか」。
22:24「主は言われる、わたしは生きている。ユダの王エホヤキムの子コニヤが、わたしの右手の指輪であっても、わたしはあなたを抜き取る。22:25あなたの命を求める者の手、あなたがその顔を恐れる者の手、すなわちバビロンの王ネブカデレザルの手と、カルデヤびとの手にあなたを渡す。22:26わたしは、あなたと、あなたを産んだ母を、あなたがたの生れた国でない他の国に追いやる。あなたがたはそこで死ぬ。22:27彼らが帰りたいとせつに願う国に、彼らは再び帰ることができない」。
22:28この人コニヤは
卑しむべき、こわれたつぼであろうか、
だれも心に留めない器であろうか。
なぜ彼とその子孫は追いやられて、
知らない地に投げやられるのか。
22:29ああ、地よ、地よ、地よ、
主の言葉を聞けよ。
22:30主はこう言われる、
「この人を、子なき人として、
またその一生のうち、
栄えることのない人として記録せよ。
その子孫のうち、ひとりも栄えて、
ダビデの位にすわり、
ユダを治めるものが再び起らないからである」。

第23章

23:1主は言われる、「わが牧場の羊を滅ぼし散らす牧者はわざわいである」。23:2それゆえイスラエルの神、主はわが民を養う牧者についてこう言われる、「あなたがたはわたしの群れを散らし、これを追いやって顧みなかった。見よ、わたしはあなたがたの悪しき行いによってあなたがたに報いると、主は言われる。23:3わたしの群れの残った者を、追いやったすべての地から集め、再びこれをそのおりに帰らせよう。彼らは子を産んでその数が多くなる。23:4わたしはこれを養う牧者をその上に立てる、彼らは再び恐れることなく、またおののくことなく、いなくなることもないと、主は言われる。
23:5主は仰せられる、見よ、わたしがダビデのために一つの正しい枝を起す日がくる。彼は王となって世を治め、栄えて、公平と正義を世に行う。23:6その日ユダは救を得、イスラエルは安らかにおる。その名は『主はわれわれの正義』ととなえられる。
23:7主は言われる、それゆえ見よ、人々は『イスラエルの民をエジプトの地から導き出された主は生きておられる』とまた言わないで、23:8『イスラエルの家の子孫を北の地と、そのすべて追いやられた地から導き出された神は生きておられる』という日がくる。その時、彼らは自分の地に住んでいる」。
23:9預言者たちについて。
わが心はわたしのうちに破れ、
わが骨はみな震う。
主とその聖なる言葉のために、
わたしは酔っている人のよう、
酒に打ち負かされた人のようである。
23:10この地に姦淫を行うものが満ちているからだ。
のろいによって地は嘆き、荒野の牧場はかわく。
彼らの道は悪く、その力は正しくない。
23:11「預言者と祭司とは共に神を汚す者である。
わたしの家においてすら
彼らの悪を見たと、主は言われる。
23:12それゆえ、彼らの道は、
おのずから暗黒の中にある
なめらかな道のようになり、
彼らは押されてその道に倒れる。
わたしが彼らの罰せられる年に、
災をその上に臨ませるからであると、主は言われる。
23:13わたしはサマリヤの預言者のうちに
不快な事のあるのを見た。
彼らはバアルによって預言し、
わが民イスラエルを惑わした。
23:14しかしエルサレムの預言者のうちには、
恐ろしい事のあるのを見た。
彼らは姦淫を行い、偽りに歩み、
悪人の手を強くし、
人をその悪から離れさせない。
彼らはみなわたしにはソドムのようであり、
その民はゴモラのようである」。
23:15それゆえ万軍の主は預言者についてこう言われる、
「見よ、わたしは彼らに、にがよもぎを食べさせ、
毒の水を飲ませる。
神を汚すことがエルサレムの預言者から出て、
全地に及んでいるからである」。
23:16万軍の主はこう言われる、「あなたがたに預言する預言者の言葉を聞いてはならない。彼らはあなたがたに、むなしい望みをいだかせ、主の口から出たのでない、自分の心の黙示を語るのである。23:17彼らは主の言葉を軽んじる者に向かって絶えず、『あなたがたは平安を得る』と言い、また自分の強情な心にしたがって歩むすべての人に向かって、『あなたがたに災はこない』と言う」。
23:18彼らのうちだれか主の議会に立って、
その言葉を見聞きした者があろうか。
だれか耳を傾けてその言葉を聞いた者があろうか。
23:19見よ、主の暴風がくる。
憤りと、つむじ風が出て、悪人のこうべをうつ。
23:20主の怒りは、み心に思い定められたことを
なし遂げられるまで退くことはない。
末の日にあなたがたはそれを明らかに悟る。
23:21預言者たちはわたしがつかわさなかったのに、
彼らは走った。
わたしが、彼らに告げなかったのに、
彼らは預言した。
23:22もし彼らがわたしの議会に立ったのであれば、
わたしの民にわが言葉を告げ示して、
その悪い道と悪い行いから、離れさせたであろうに。
23:23「主は言われる、わたしはただ近くの神であって、遠くの神ではないのであるか。23:24主は言われる、人は、ひそかな所に身を隠して、わたしに見られないようにすることができようか。主は言われる、わたしは天と地とに満ちているではないか。23:25わが名によって偽りを預言する預言者たちが、『わたしは夢を見た、わたしは夢を見た』と言うのを聞いた。23:26偽りを預言する預言者たちの心に、いつまで偽りがあるのであるか。彼らはその心の欺きを預言する。23:27彼らはその先祖がバアルに従ってわが名を忘れたように、互に夢を語って、わたしの民にわが名を忘れさせようとする。23:28夢をみた預言者は夢を語るがよい。しかし、わたしの言葉を受けた者は誠実にわたしの言葉を語らなければならない。わらと麦とをくらべることができようかと、主は言われる。23:29主は仰せられる、わたしの言葉は火のようではないか。また岩を打ち砕く鎚のようではないか。23:30それゆえ見よ、わたしはわたしの言葉を互に盗む預言者の敵となると、主は言われる。23:31見よ、わたしは、『主は言いたもう』と舌をもって語る預言者の敵となると、主は言われる。23:32主は仰せられる、見よ、わたしは偽りの夢を預言する者の敵となる。彼らはそれを語り、またその偽りと大言をもってわたしの民を惑わす。わたしが彼らをつかわしたのではなく、また彼らに命じたのでもない。それで彼らはこの民にすこしも益にならないと、主は言われる。
23:33この民のひとり、または預言者、または祭司があなたに、『主の重荷はなんですか』と問うならば、彼らに答えなさい、『あなたがたがその重荷です。そして主は、あなたがたを捨てると言っておられます』と。23:34そして、『主の重荷』と言うその預言者、祭司、または民のひとりを、その家族と共にわたしは罰する。23:35あなたがたは、みな互に、隣り人に、また兄弟に、こう言わなければならない、『主はなんと答えられましたか』、『主はなんと言われましたか』と。23:36しかし重ねて『主の重荷』と言ってはならない。重荷は人おのおのの自分の言葉だからである。あなたがたは生ける神、万軍の主なるわれわれの神の言葉を曲げる者である。23:37あなたは預言者にこう言わなければならない、『主はあなたになんと答えられましたか』、『主はなんと言われましたか』と。23:38もしあなたがたが『主の重荷』と言うならば、主はこう仰せられる、『わたしが人をあなたがたにつかわして、あなたがたは「主の重荷」と言ってはならないと言わせたのに、あなたがたは「主の重荷」という言葉を言ったので、23:39わたしは必ずあなたがたを捕え移させ、あなたがたとあなたがたの先祖とに与えたこの町と、あなたがたとを、わたしの前から捨て去る。23:40そして、忘れられることのない永遠のはずかしめと永遠の恥を、あなたがたにこうむらせる』」。


テトス

第1章

1:1神の僕、イエス・キリストの使徒パウロから――わたしが使徒とされたのは、神に選ばれた者たちの信仰を強め、また、信心にかなう真理の知識を彼らに得させるためであり、1:2偽りのない神が永遠の昔に約束された永遠のいのちの望みに基くのである。1:3神は、定められた時に及んで、御言を宣教によって明らかにされたが、わたしは、わたしたちの救主なる神の任命によって、この宣教をゆだねられたのである――1:4信仰を同じうするわたしの真実の子テトスへ。
父なる神とわたしたちの救主キリスト・イエスから、恵みと平安とが、あなたにあるように。
1:5あなたをクレテにおいてきたのは、わたしがあなたに命じておいたように、そこにし残してあることを整理してもらい、また、町々に長老を立ててもらうためにほかならない。1:6長老は、責められる点がなく、ひとりの妻の夫であって、その子たちも不品行のうわさをたてられず、親不孝をしない信者でなくてはならない。1:7監督たる者は、神に仕える者として、責められる点がなく、わがままでなく、軽々しく怒らず、酒を好まず、乱暴でなく、利をむさぼらず、1:8かえって、旅人をもてなし、善を愛し、慎み深く、正しく、信仰深く、自制する者であり、1:9教にかなった信頼すべき言葉を守る人でなければならない。それは、彼が健全な教によって人をさとし、また、反対者の誤りを指摘することができるためである。
1:10実は、法に服さない者、空論に走る者、人の心を惑わす者が多くおり、とくに、割礼のある者の中に多い。1:11彼らの口を封ずべきである。彼らは恥ずべき利のために、教えてはならないことを教えて、数々の家庭を破壊してしまっている。1:12クレテ人のうちのある預言者が
「クレテ人は、いつもうそつき、
たちの悪いけもの、
なまけ者の食いしんぼう」
と言っているが、1:13この非難はあたっている。だから、彼らをきびしく責めて、その信仰を健全なものにし、1:14ユダヤ人の作り話や、真理からそれていった人々の定めなどに、気をとられることがないようにさせなさい。1:15きよい人には、すべてのものがきよい。しかし、汚れている不信仰な人には、きよいものは一つもなく、その知性も良心も汚れてしまっている。1:16彼らは神を知っていると、口では言うが、行いではそれを否定している。彼らは忌まわしい者、また不従順な者であって、いっさいの良いわざに関しては、失格者である。


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